死ぬ日が来るまで

生きることに疲れました。希望のない日々の記録です。

史上最年長の芥川賞を目指す

年金が貰えることになったけれど、65歳になったときの年金額の試算が夫婦二人で10万円である。
この金額では東京で生活できないので、実家のある田舎に帰ろうかと家内に提案してみた。
実家に住めば家賃は要らないから、贅沢をしなければ何とかやっていけるかもしれない。
しかし、家内から予想外の質問が飛び出した。

 

「田舎で何をするの?」
「えっ?」
「わたしは、パートできるところを探して働くけど、あなたは何をするの?」

 

年金暮らしだから、当然何もしないでブラブラしていればいいと思っていたので、正直虚をつかれた感じであった。

 

「何もしないでゴロゴロしていられるのは嫌ですからね」
「ああ、ボクはね、小説を書くよ。これから史上最年長の芥川賞を目指すんだ」

 

咄嗟に口から出まかせみたいに言ってしまった。
かつて高校生のときに史上最年少の芥川賞作家を目指したことはあるけれど、あれから50年近く経っている。
今から目指すなら史上最年長になるのはやむを得ないが、勢いで言ってしまったのはまずかったかもしれない。

 

家内は、気にも留めなかったようで、何も言わなかった。
でも、本当に田舎に帰ることになったら、一日中ゴロゴロしている私に向かって、家内はきっとこう言うのである。

 

「あなた、芥川賞はいつもらえるの?」

 

口は災いの元である。